秋深まる尾道のイベントにベッチャー祭りがあります。
聞きなれない名前ですよね。それもそのはず、このお祭りは奇祭としても有名なんです。
でも実は尾道市無形民俗文化財に指定された由緒正しいお祭りです。
このベッチャー祭り、どんなお祭りなんでしょうか?
目次
ベッチャー祭りの起源は江戸時代
その昔、江戸時代後期1807年(文化4年)のこと。尾道市内に疫病が流行しました。病に苦しむ町を何とかしようと、当時の町奉行であった南部藤左衛門が尾道の各神社に病魔の退散お祓いと平癒祈願をするように命じます。
当時は吉備津彦神社と呼ばれていた現在の一宮(いっきゅう)神社でも、病魔退散のために3日間夜通しで祈祷を行い、旧暦の10月18日に若者が鬼の面をつけ、神輿を先頭にして町へ繰り出していったのです。これがベッチャー祭りの始まりと言われています。
だからお祭りも3日間続くんですね。
現在では毎年11月1日~3日にかけて開催されています。
主役は「ベタ」「ソバ」「ショーキー」の3キャラ
ベッチャー祭りの一番の見どころは3日目の練り歩き。
3体の鬼たちが、太鼓や囃子の音色とともに神輿を先導しながら、尾道市内を練り歩くのです。鬼たちはそれぞれ特徴的なお面で表されていて、道具を持っています。これら3鬼神に噛まれたり、道具で突かれたり、たたかれたりすると、それから1年間の無病息災が約束されるといわれているのです。
ベタ
ベッチャー祭りの名前の由来になったキャラ。狂言のお面である武悪面で表される鬼神です。
最初にこの鬼神に扮したのが御所柿屋平衛門という人物だったことから「ゴショガー」と呼ばれていたらしいですが、のっぺりした面の特徴から「ベタ」と呼ばれるようになり、それがなまって「ベッチャー」と呼ばれるようになったとか。
ベタは祝棒を持っていて、これで突かれると子宝に恵まれるといわれています。
ソバ
能面の「大蛇」の面をかぶる鬼神。なんと女の鬼神です。
そもそも最初にこの役を担ったのが蕎麦屋の鍛冶川福松という人だったので、この名前になったということです。
「あの蕎麦屋のだんなが扮したやつ」というノリでしょうか(笑)
ソバも祝棒をもって人々に子宝を恵んで回ります。
少子化の歯止めをかけるのに一役買ってくれているようです。
ショーキー
彼は天狗です。便利屋の庄吉という人が最初にこの役をやったので、この名前になったという説と、道教の神様である鍾馗(しょうき)に由来するという説があります。
今までの流れからだとしょーきちさんから派生したと考えるほうが自然なような気がするのは私だけでしょうか。
でもこの鍾馗という神様、実際に魔除けなどで信仰を集めているんですね。
さて、尾道のショーキーが持つのは、なぜかささらです。
ささらって何?という人のために。
役割でいうとたわしとブラシの中間みたいなものでしょうか。竹で作った汚れ落とし用ブラシです。
2016年ベッチャー祭り日程
【11月1日(火)】
18:00~神輿渡御
お神輿が町を練り歩きます。
【11月2日(水)】
11:00~大祭式典
19:00~奉納ベッチャー太鼓
【11月3日(木)】
17:30~練り歩き
練り歩きコース
2015年の情報ですが、コースはこちらを参考にしてみてください。
まとめ
遠巻きに見るのなら尾道駅前の広場など。鬼たちの躍動感を感じたり、実際に突っつかれたりしてみたい人は、商店街などの練り歩きの経路で待つのがいいと思います。
ぜひ鬼に叩かれたり噛まれたりしてみて、一緒に躍動感を感じてみてください(笑)
これから1年間の無病息災が期待できますよ!