まさかの結果になったアメリカ大統領選挙戦。
テレビ東京で当選確実になったドナルド・トランプ氏の勝利宣言を、番組に出演中だったタレントのパックンが急きょ同時通訳したとのことで話題になりました。
始めのうちはスタジオがざわついていたり、途中で「通訳さん、交代ですか?」というパックンの質問などもあって、予定していた進行に何かが起こって同時通訳が不可能になったため、急きょパックンが通訳をしたというニュアンスでニュースが伝えられていましたが、実際は最初からパックンがすることに決まっていたそうです。
ただ最初の十数秒間はパックンがトランプ氏の発言の内容をあらかじめ理解するために聞いていたため、時間差ができたとのことでした。
どちらにしても、同時通訳をこなしたパックン。これはすごいことには変わりありません。
通訳ってどんな種類があるのか?パックンが初めてしてみた、という同時通訳とは、どのようなものなのかまとめてみました。
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目次
翻訳と通訳は全く別物
まず、どちらも基本的にある外国語を別の外国語に置き換える作業ですが、翻訳と通訳では求められる技術も結果も違ってきます。
日本の場合、一番需要の多いパターンは英語→日本語か日本語→英語ですね。
もちろんいろんな場合がありますが、一般的に翻訳には正確さがまず求められます。
翻訳は後々残っていくものですし、公の文書として記録をしておくため、または公共機関に提出する目的などで作成する場合も多いので、一字一句の正確さが重要になってきます。
そのため正しい言葉を選ぶために膨大なリサーチをする、という場合もよくあります。
その一方で通訳は基本的に記録には残りません。
その場で例えば英語話者の発言者の発言を日本語にしていくだけなので、一瞬一瞬が勝負です。
現場でリサーチなどは行えないので、逆に正確さが少し欠けてもそこまでの正確さは求められません。
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逐次通訳と同時通訳
通訳には非常に大きく分けて逐次通訳と同時通訳の2種類があります。
逐次通訳
逐次通訳とは、例えば英語の話し手が話したことを一定時間聞き、それの内容を日本語に置き換えて再生するという作業です。
この場合通訳は話し手の言葉を集中して聞き、メモをとったりして記憶します。
その後、とったメモと自分の記憶を頼りに、話し手の話した内容・メッセージを伝えます。
話し手の発言を集中して聞けることから、ある程度の正確さも求められます。
同時通訳
同時通訳は例えば英語の話し手が話している先からどんどん日本語に置き換えていきます。
要するに、話し手の言葉を聞きながら、それに同等する日本語を見つけ、それに置き換えながら話し手の次の言葉を聞く・・・という一連の作業を同時に行うわけです。
想像してもわかると思いますが、非常に大変な作業です・・・。
大体は自分が日本語を言う時、その声にかき消されて話し手の言葉が聞こえなくなる、というのが普通ですから。
ですが、英語と日本語両方に非常にたけたレベルになってくると、この作業が行われるようになってきます。
が、もちろんこの場合、100%の正確さは求められません。80%の内容が伝わればプロの通訳と言える、と言われています。
また集中力も半端なく使いますので、1人ではできません。人間の集中力は20分までと言われています。
そのため、同時通訳になると最低2人は必要で、10分~20分ごとに交互に交代して通訳していきます。
またこの場合も現場でリサーチはできませんので、通訳さんは現場入り前日までに自分で時間を見つけ、必死になって通訳をする分野の勉強をします。
ですから自分の専門分野が決まっているほど、強いのですね。
まとめ
こう考えると、パックンが「初めてやった」と言っている同時通訳がどんなにすごいかをお分かりいただけるのではないかと思います。
生放送で「初めて」をやってのけてしまうのが、またすごいところですよね。
もちろんパックンはもともと大統領選挙を追いかける番組にゲスト出演したり、自分でもかなり研究をしていたので、バックグラウンド、事前準備、専門用語などは十分に知識があったと思われます。そこは強いですよね。
とにかくハーバード大学卒のパックンの実力が光る一場面だったことは間違いないようですね!